鮨処なごやか亭

人生の目的、意義は 「世のため、人のために善きことを実践し、心を高めること」

今回のフィロソフィの学びのテーマは人生の目的、人生の意義についてです。稲盛和夫氏の教えをお伝えさせて頂きます。

 

『元来、人間は自らの意志を持って、誕生するわけではありません。両親から生を授かり、気がつけばこの世に存在しているだけのことです。ならば、この世に生を受けたことなど偶然であり、人生に目的などなく、また一人一人の人間に存在意義などないという見方もあるかもしれません。

しかし、私はそうではなく、人間の存在は必然であり、人生には明確な目的と意義が存在すると考えています。

物理学について勉強されている方は、「エネルギー保存の法則」をご存知のことと思います。いかなる物理的、化学的変化があろうと、宇宙全体のエネルギーは一定不変であるというものです。つまり、微々たる質量しか持たない石ころ一つであっても、宇宙の微妙なバランスをとるために不可欠な存在であり、無駄なものなど何一つ宇宙に存在しないのです。

また、生物学では、「食物連鎖」があります。炭酸同化作用で成長した植物を草食動物が食べ、その草食動物を肉食動物が食べ、さらに肉食動物は土に返り、植物の成長を促すというものです。これも、連鎖を構成する、たった一つの動植物が絶えただけで、連鎖全体が成立しなくなるという微妙なバランスのもとにあり、不必要なものは一つとして存在していないのです。

つまり、自然科学の見地からも、この宇宙にあるものには、すべて必要性があり、存在すること自体に価値があると考えられるのです。

ましてや人間は、深い知恵を有し、強い意志を持ち、豊かな感情を持ち、高度な精神活動を営んでいます。もし、路傍の石にさえ存在意義があるならば、人間にはより高次元の存在意義があってもいいと私は考えるのです。

その存在意義とは何でしょうか。すばらしい知的能力を有し、高度な文明を築き上げることのできる人間にふさわしい崇高な存在意義、それは、この宇宙に存在するすべてのものに対して、善きことをしてあげるということではないかと、私は考えています。

世のため人のために善かれと思うことを行う、そのような利他、あるいは愛や慈悲といった行為に努めることこそが、人間の価値をより高め、人生を意義あるものにするのではないかと思うのです。

例えば、自己犠牲を払ってでも家族や友人のために尽くす、身寄りのない老人や恵まれない子どもたちのために何かしてあげる、または企業経営を通じ多くの従業員の物心両面の幸福に努め、さらには雇用や納税、科学技術の進歩などに寄与することで、国家や社会の発展に貢献するというようなことです。

しかし、ともすれば人は自らの立身出世など利己的な願望を、人生の目的に据えがちです。例えば、一流の大学に行って、高級官僚や政治家といった社会的に高い地位の職業に就き、人々の上に立ち、経済的にも豊かになりたい。あるいは学術や芸術の分野で高い評価を得て、社会から広く認知されることを願う、といったように、自らが「功なり名を遂げる」ことを、まずは人生の目的とするのです。

しかし、いくら立身出世を遂げ、高い地位と豊かな財産、社会的な名誉を獲得したとしても、やがて死を迎えるときに、それらを死出の旅路に携行することはできません。死にあたり、肉体を放棄した後に残りますのは唯一、魂だけであると私は考えています。

魂しか残せないなら、私は豊かな魂を残したいと考えます。そして、それこそが人生の目的でないかとも思うのです。地位を築いたとか、財産を殖やしたとか、名誉を勝ち得たなどということも大切なことではありますが、決してそれが、最終的な人生の目的ではないはずです。

年齢を重ね、人生の最期を迎えるときに、「あの人は若い頃に比べると、人柄が善くなり、たいへん立派になられた」と言われるようになることが、人生における真の功績であり、人生の勲章ではないかと私は思うのです。

つまり、人生を生きる中では、「心を高める」、心を浄化する」、心を純化する」、「心を磨く」ということに努め、魂を美しく気高いものに昇華させていくべきなのです。原石のような魂をその生涯をかけて磨き上げていくことですばらしい人格者になる、それこそが人生の意義だと私は考えています。』

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